バルクアップのための”科学的”な増量期の食事方法とPFCバランス【エビデンスを元に解説】

食事前のマッチョ
こんにちは、筋トレ栄養マニアのかしろ(@kashiro_kona)です。

筋トレをして筋肉を増やす(バルクアップ)ためには増量期を設けた方が良いって聞いたけど、どうすればいいの?

今回はそんな疑問にお答えしていきましょう。

増量のやり方には色々な方法が存在しますが、いずれも共通する点としては「摂取カロリー>消費カロリー」の状態を作り出すことが基本になります。

それを踏まえた上で出来る限り脂肪を増やさずに筋肉だけを増やすやり方を、様々なエビデンスを元に解説していきます。

この記事を読めば最も効率の良い増量期の食事方法が理解出来ますよ。

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筋肉を増やすための最も効率的な増量期の食事方法

ステーキを食べようとする男性

増量期の食事の基本は、先ほども述べた通り「摂取カロリー>消費カロリー」の状態を作り出すことになりますが、その方法にはいくつかのバリエーションが存在します。

特に有名なやり方としては、ダーティーバルクリーンバルクですね。

この2つのやり方を簡単に説明すると、

  • ダーティーバルク:食べるものの内容は気にせず、とにかく摂取カロリーを増やすことだけを重視した増量方法
  • リーンバルク:食べるもののバランスにまで気を付けて、なるべく脂肪を増やさずに体重を増やす増量方法

といった具合になります。

今回はリーンバルクを元にした方法を紹介します。

ですがリーンバルクよりもさらに細かく注意すべき点などを解説しています。

早速ですが、まずはトータルの摂取カロリーの考え方についてからお話しましょう。

増量期の摂取カロリーの考え方

トータルの摂取カロリーを説明する前に知っておくべきことが1つあります。

それは、筋トレのキャリアによって筋肉を増やす為に必要なカロリーは変わってくるという点です。

何故なら、すでに存在する筋肉が増えれば増えるほど、新たな筋肉がつくスピードというのは低下していくことが知られているからです。

なので筋トレ初心者と上級者が同じだけの余剰カロリーを摂取したとしても、上級者の方が増える筋肉量は少なくなり、その分無駄となるカロリーも多くなってしまうということになります。

実際、ナチュラル(ドーピングなどをしていない)なボディビルダーとして長年活躍されているYoutuberkatochan33の増量期の食事を紹介した動画を見ても、そこまで大量の食事を摂取しているという感じではありません。

他にも筋肉芸人として有名ななかやまきんに君なんかも、同じように非常にヘルシー(に見える)食生活を、増量期・減量期関係なく行っているようです。

何故彼らはこのような食生活を送っているのかというと、どれだけ大量の食事を摂取したとしても、そのカロリー分のほとんどが筋肉ではなく脂肪になってしまうことを、長年のキャリアから十分に理解しているからこそなのです。

でも長年筋トレをしている人の中には、筋肉を増やすためには食えるだけ食えって人もたまに見かけるよ?

確かにそれも、100%間違いという訳ではありません。

実際、1日の摂取カロリーを消費カロリーの+2000kcal以上にしたこちらの研究によると、余剰カロリーの内容に関わらず、筋肥大を引き起こすことが出来たという結果が得られています。

しかしその一方で、筋肉と同じくらい脂肪も大量に増えてしまっていたのです。

他にも、28人の男性が筋力トレーニングをしながら

  • 1日約1,400カロリー(炭水化物290グラム、タンパク質60グラム、脂肪1グラム)の余剰カロリーを摂取するグループ
  • 1日約570カロリー(炭水化物64グラム、タンパク質67グラム、脂肪5グラム)の余剰カロリーを摂取するグループ

という2つのグループに分かれて実験を行ったこちらの研究によると、 両グループとも体重の増加は見られましたが、後者の+570kcalを摂取したグループの方が除脂肪体重(筋肉量)の増加が大きく、+1400kcalを摂取したグループの方が体脂肪の増加量が大きかったという結果が出ています。

以上のことから分かるのは、筋肉が増えるスピードの限界以上のカロリーを摂取しても、その余剰カロリーは筋肉ではなく脂肪になってしまうということです。

ただ、ステロイドを使っている人は筋肉が限界を突破して増加するようになります。なのでいくらマッチョだからと言って、たくさん食べて筋肉を増やしているようなボディビルダーの真似事は安易にしないように注意しましょう。ナチュラルの人が真似をしても、同じくらい筋肉が増えるとは限りませんよ。

ここまでの内容をいったん整理しましょう。

  • 初心者と上級者では筋肉の増えるスピードは異なる
  • 筋肉の増えるスピード以上にカロリーを摂取しても意味がない

重要なのはこの2点です。

こちらを踏まえた上での最適な増量期の摂取カロリーはどうなるのかというと、

  • 初心者:消費カロリーの10%~20%を余剰に摂取する
  • 上級者:消費カロリーの5%~10%を余剰に摂取する

という具合になります。

例えば、1日の消費カロリーが2500kcalの場合、その10%~20%は250kcal~500kcalとなるので、筋トレ初心者の場合は合計2750kcal~3000kcalの間、上級者の場合は2650kcal~2750kcalの間となります。

>>【ダイエット・減量前に】自分の基礎代謝を知ろう!1日に消費するカロリーの計算方法とは

加えて筋肉の増加するスピードも考慮すると、

  • 筋トレ初心者:総体重が1週間あたり現在体重の0.25%〜0.5%の増加
  • 筋トレ上級者:総体重が1週間あたり現在体重の〜0.25%の増加

という増加量を目安にすると良いです。

体重が70kgの人なら、1週間あたり175g~250gの増加となる計算ですね。

これ以上のペースで増加している場合は、余分な脂肪が増えている可能性が高いです。

増量期の摂取カロリーバランスの考え方

アンバランスな天秤

トータルの摂取カロリーの次に考えるべきは、その摂取カロリーのバランスについてです。

ここで重要となるのはPFCバランスと呼ばれるものになります。

PFCとはカロリーの元となる三大栄養素の頭文字(Protein:タンパク質、Fat:脂質、Carbo:炭水化物)3文字を取って繋げた言葉のことを言います。

つまりは食事で摂取するタンパク質・脂質・炭水化物のバランスが、増量期の食事においては非常に重要であるということです。

個々の摂取量とそれだけの量が必要な理由について詳しく説明する前に、まず全体のバランスを先にお伝えしておきましょう。

  • タンパク質:1.6g~2.2g
  • 脂質:総摂取カロリーの20%~30%
  • 炭水化物:タンパク質と脂質の摂取量を算出した後の残りカロリー分

上記が、増量期において最も効率良く筋肥大するためのPFCバランスとなります。

その理由についてもう少し詳しく解説していきましょう。

増量期のPFCバランス①:タンパク質

筋肥大において最も重要なのがこのタンパク質となります。

何故ならタンパク質には筋肉の材料となる働きと、筋肉を合成するシグナルを活性化する働きの2つが備わっているからです。

それなりに筋肉や筋トレについて学ばれている方なら、タンパク質(プロテイン)が筋肉を作るための材料となることはよくご存じの方も多いでしょう。

だからといって、際限なくタンパク質を大量に摂取すればその分だけ筋肉の増えるスピードや量がアップするというわけではないのです。

2017年に行われた、筋肥大に対して最も効果的なタンパク質の摂取方法メタ分析(複数の論文を横断的に分析するという手法のこと)したこちらの論文によると、

最も効率よく筋肥大をするために必要なタンパク質の摂取量は1.6g/kg/日(1日あたり体重1kgに対して1.6g)であり、最大でも2.2g/kg/日までである

と結論付けてます。

それどころか、2.2g/kg/日以上のタンパク質を摂取しても筋肥大効果は向上しないとも書かれてあります。

これは先ほども説明した通り、一定期間内で増加する筋肉量には限界値が存在するからに他なりません。

そのラインが、1.6g~2.2gなのですね。

また、健康な男女を3.4g/kg/日のタンパク質を摂取するグループと、2.3g/kg/日のタンパク質を摂取するグループに分けて実験をしたこちらの研究によると、どちらのグループとも総体重は増加したが、3.4g/kg/日を摂取したグループの方が体脂肪の増加は少なく、除脂肪体重(筋肉量)の増加度合いには差は見られなかった、という結果が出ています。

これは、タンパク質を消化吸収する際に必要となるカロリー(食事誘発性熱生産)は、脂質や炭水化物よりも高いため、タンパク質を摂り過ぎると消費カロリーが増加してしまうことが原因として考えられています。

なので減量中(ダイエット中)はともかくとして、増量中における過度なタンパク質の摂取はかえって消費カロリーを増加させてしまい、なおかつ他の必要な栄養素を摂取出来なくさせてしまうため、マイナスの効果を生む可能性すらあるということになります。

上記の研究結果を踏まえても、3g/kg/日以下には抑えるべきでしょう。

(補足):タンパク質の摂取タイミングについて

また、増量中においてはタンパク質の摂取量だけではなく、タンパク質の摂取タイミングも重要となります。

それには、タンパク質に備わっている、筋肉を合成するシグナルを活性化させる働きが関わっています。

厳密にはこの働きは、タンパク質を構成するアミノ酸の1つであるロイシンがもつ作用なのですが。

(アミノ酸についてはやみくもにタンパク質を摂るだけでは意味がない!?必須アミノ酸について解説で詳しく解説しています)

逆を言うと、どれだけ大量のタンパク質を摂取したとしても、このロイシンの摂取量が少なければ筋肉の増える量は少なくなってしまうということでもあります。

ただ、プロテインパウダーや肉、魚、卵などの動物性たんぱく質から1.6g/kg/日以上のタンパク質を摂取している場合は、意識しなくてもロイシンの必要量を満たしていることがほとんどなのでそこまで気にする必要はありません。ただ肉からタンパク質を摂取する場合、牛肉は脂質が多めに含まれるため、鶏肉など脂質の低い食材を心かげましょう。ビーガンの人が植物性タンパク食からのみ摂取する場合などは別ですが。

こちらの研究は、24人のトレーニングを受けた男性を、

  • 1.5時間おきに10gのホエイプロテインを×8回の合計80g摂取するグループ
  • 3時間おきに20gのホエイプロテインを×4回の合計80g摂取するグループ
  • 6時間おきに40gのホエイプロテインを×2回の合計80g摂取するグループ

の3つのグループに分けて、12時間後の筋肉の合成の高まりにどのような差が出るのかを調べたものとなります。

結果として最も筋肉の合成が高まったのは、3時間おきに20gのホエイプロテインを摂取したグループだったのです。

このことから、最も筋肥大に効果的なタンパク質の摂取タイミングは、3時間おきに20g以上を摂取することであると言えます。筋トレ直後のゴールデンタイムの摂取だけでなく、定期的な頻度での摂取も重要ということですね。

が、これはあくまで理想論であり、仕事や学校で忙しい普通の人にはなかなか実行するのが難しいタイミングであるとも考えられます。

あくまでも優先順位は「必要なタンパク質量を摂取すること>タンパク質の摂取タイミングを最適化すること」なので、可能な人はこちらの摂取方法を意識してみて下さい。

増量期のPFCバランス②:脂質

筋トレをする人が意外と見逃がしがちなのがこの脂質です。

特に筋肉を維持したまま脂肪を落とす減量期においては、この脂質の量を制限することでカロリーを制限する脂質制限ダイエットを行っている人も多く、その影響でリーンバルクをベースとした増量期においては、脂質を極力摂らないようにしている人も多く存在します。

ですが実はそれ、大きな誤りです。

なぜなら脂質を極端に制限すると、筋肉の合成が低下してしまうからです。

順を追って説明すると、それには男性ホルモンの一種であるテストステロンが大きく関わってきます。

50歳から60歳までの39人の中年男性に対し、8週間にわたって脂質の摂取カロリーが総摂取カロリーの15%以下となるような低脂質の食事を与えたこちらの研究によると、8週間後に体重の減少とともに、テストステロン濃度の低下がみられたという結果が出ています。

テストステロンは分泌量が増えれば増えるだけ筋肉の合成が高まるというわけではありませんが、テストステロン値が低下した高齢男性に対して外部からテストステロンを投与したいくつかの実験によると、運動機能の改善や筋肉量の増大が見られています。

このことから、テストステロン濃度の低下は筋肥大に対してマイナスの影響を及ぼす可能性が示唆されているのです。

以上の事を踏まえた上で、アメリカのスポーツ医学会が推奨する値でもある、総摂取カロリーの20%~30%は脂質から摂取するようにした方が、筋肥大にとっては効果的であると考えられます。

また、この際摂取する脂質の種類についてですが、なるべく安価に済ませたい場合は飽和脂肪酸(ラード、バターなど)を中心とした酸化しにくい脂質を。

お金に余裕のある方は少しお高めのオリーブオイルなどから摂取するようにしましょう

よく世間一般ではオリーブオイルのメリットばかりが取り上げられますが、それはあくまで酸化していないエクストラヴァージンオリーブオイルの事を指しています。

実はオリーブオイルの最大のデメリットは、非常に酸化しやすいという点です。

酸化した状態のオリーブオイルを摂取するくらいなら、ラードやバターなどの酸化しにくい油を摂取した方がよほど効果的です。

また、スーパーなどで安価に買えるオリーブオイルは、エクストラヴァージンオリーブオイルと銘打ってはいるものの、国際基準には到底満たない低品質なものもしばしば存在しています。

なのでもしも脂の質にこだわりたいという方は、下記のような本物のオリーブオイルを購入しましょう。

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これ以外でも、国際的なオリーブオイルの大会で受賞しているようなものであれば、一定以上の品質が担保されているのでオススメです。

もちろんオリーブオイル以外でも、EPAやDHAなどのフィッシュオイルや、卵、アボカド、ナッツ類なんかも脂質源としてはオススメです。

増量期のPFCバランス③:炭水化物

増量期において、実はそこまで重要ではないのがこちらの炭水化物です。

筋トレのように激しく筋肉を使う運動においては、ATP(アデノシン三リン酸)というエネルギーが体内で生成されて使われるのですが、このATPを生成するのに必要なのが糖質、つまりは炭水化物になります。

このことからたまに「炭水化物は筋肉をデカくしたけりゃ食えるだけ食え!」というボディビルダーやYoutuberがいますが、実はそれは正しくはありません(間違いでもありませんが)。

確かに低炭水化物食にすると筋トレのパフォーマンスが低下するのは間違いありませんが、逆に、炭水化物の摂取量を増加させることで筋トレのパフォーマンスが向上するということもないのです。

というわけでこれまでの、総摂取カロリーを増やし過ぎても筋肥大に対しては意味がないという事実や、筋肉の材料となるのは主にタンパク質であることを踏まえると、必要な炭水化物の摂取量は、筋肥大に必要な総摂取カロリーの残りを補填する量で十分であるという結論になります。

そのようにすれば自然と必要な量の炭水化物が摂取できているはずです。

また、どのようなものから炭水化物を摂取すれば良いのかというお話ですが、なるべく砂糖が豊富に含まれたお菓子類よりは、パスタお米などを中心に食べた方が良いです。

特にパスタやお米には植物性ではありますがタンパク質も豊富に含まれています。またお米は白米よりも玄米のほうがタンパク質が多めに含まれていますので、玄米を摂取するようにしましょう。

たまに「植物性タンパク質はアミノ酸スコアも低いし筋肥大には無意味!」という人がいますが、一日の総摂取タンパク量として筋肉が生成されるのに必要なだけの必須アミノ酸を摂取出来ているのであれば、個々の食事のアミノ酸スコアはそこまで気にする必要はありません。

実際、ホエイプロテインと米から抽出したタンパク質を8週間にわたって摂取したこちらの研究によると、必要な必須アミノ酸量を満たしていれば、どちらも同じように筋肉が合成されるという結果が出ています。

なので肉や魚からタンパク質を摂取するのが難しいという人は、プロテインパウダーと合わせてパスタやお米からタンパク質を摂取するという戦略を取るというのも十分アリな方法です。

増量期に必要なサプリメントについて

では次に、増量期に必要となるサプリメントについて解説していきます。

ここでは、筋肥大の効率もしくは筋肥大の効果を高めるサプリメントを中心に紹介します。

増量期を効率化させるサプリメント①:プロテイン

トレーニーにはもはや説明不要の超必須アイテムです。

特に増量期においては、タンパク質の必要摂取量をきちんと確保することが何よりも重要なのですが、食の細い人だとなかなか全てを固形食品から摂取しようとすると、厳しいものがあります。

そういう人こそ、ぜひこちらのプロテインを活用しましょう。

水に溶かして飲めるプロテインなら多少無理すれば必要量飲むことはそう難しくはないはずです。

増量期を効率化させるサプリメント②:マルチビタミン・ミネラル

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Source Naturals

こちらの研究厳密なカロリー計算を行って減量を行うボディビルダーと、様々な食品をバランスよく食べてダイエットを行う女性とを比較し、マルチビタミン・ミネラルといった微量栄養素をどちらが多く摂取しているかを比較したものとなります。

結果は語るまでもありませんが、もちろん、バランスよく多くの食品から栄養を摂取した女性の方が、特にビタミンE、ビタミンK、ビタミンCなどをきちんと摂取出来ていたとの結果が出ています。

ただこのことから分かるのは、筋肉をつけること最優先にしている人は、日々の食事から摂取する微量栄養素が不足しがちであるということです。

しかしながらビタミン・ミネラルといった微量栄養素は健康に良いのはもちろんのこと、タンパク質を含めた主要栄養素をきちんと代謝する際にも必要となってくるので、出来ればサプリメントなどからきちんと摂取して補助をしたいところです。

ビタミン・ミネラルについては下記の記事でより詳しく解説しておりますので、そちらもご覧ください。

>>【完全保存版】筋トレする人向け!必要なビタミン摂取量をまとめてみた【栄養素表示基準値とは違う】

>>筋トレをして筋肉をつけたいのなら16種のミネラルについて学ぼう【超重要】

それが面倒な方は上記でご紹介してあるソースナチュルズのElan Vital Multipleを購入しましょう。

こちらはトレーニーに必要なビタミン・ミネラルが完璧に配合された最強のサプリメントです。

怪しいHMB系のサプリメントを購入するより、よほど筋肉にも健康にも良いのでオススメです。

増量期を効率化させるサプリメント③:EAA

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EAAとはEssential Amino Acid、つまりは9種類の必須アミノ酸のことを指します。

この9種類のアミノ酸は体内で合成することが出来ず、必ず外部から摂取しないといけないことからこのような名称がつけられているのです。

その上、もし9種類のうち1つでも欠乏したら、筋肉は合成されない(厳密には体内に存在するタンパク質=筋肉を分解して再合成するが)という性質も備わっています。

基本的に巷で売られているプロテインは、この必須アミノ酸が必要量摂取できるように作られています。

それじゃあわざわざEAAで摂取する必要なくない?

そう考えるのも至極最もですが、EAAの利点はその吸収率の高さにあります。

こちらの研究は40gのプロテインとEAAをそれぞれ別のグループに摂取してもらい、どちらがより摂取後の血中アミノ酸濃度が高まるかを調べたものとなっております。

結果は、両方とも平常時よりも血中アミノ酸濃度が高まりましが、EAAの方がより高い数値を記録したのです。

なのでEAAが力を発揮するのは特に、筋トレの最中になります。

最近の研究では実は筋トレ中からすでに筋肉の合成は始まっており、そのタイミングで適切な栄養(特にアミノ酸)を摂取しないと、体は他の使われていない部位の筋肉を分解して、新たな筋肉を合成しようする可能性が存在するのです。

それを防ぐには、筋トレ中により素早く吸収されるアミノ酸を摂取することが必要となるので、EAAが筋肥大に対して非常に効果的に働くというわけです。

EAAの具体的な摂取方法についてはマイプロテインのEAAの飲み方について解説します【その他メーカーもOK】という記事で詳しく解説しています。

増量期を効率化させるサプリメント④:クレアチン

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クレアチンは、筋力UPと筋肥大に対して高いエビデンス(科学的根拠)レベルでその効果が実証されたサプリメントとなっています。

筋肉が力を発揮するときにATPというエネルギーを生成することは炭水化物の項でも説明した通りですが、実はこのクレアチンからもATPは生成されるのです。

なので十分な量のクレアチンが体内に貯蔵されていると、筋肉がより適切に力を発揮できるようになるというわけなのです。

クレアチンについては筋トレにおいてクレアチンが効果的である3つの理由【エビデンスあり】という記事で飲み方含めて詳しく解説しておりますので、そちらもご参照ください。

さいごに

さいごに、ここまでの内容を表にまとめてみました。

レベル 初心者~中級者 上級者
総カロリー 消費カロリーの+10%~20% 消費カロリーの+5%~10%
タンパク質 1.6g~2.2g/kg/日 1.6g~2.2g/kg/日
脂質 総カロリーの20%~30% 総カロリーの20%~30%
炭水化物 残りの総カロリー 残りの総カロリー
週あたりの体重増加目安 現在体重の0.25%〜0.5% 現在体重の0.25%以下
推奨サプリメント マルチビタミン・ミネラル、プロテイン、EAA、クレアチン 同左

具体例を挙げて見て行きましょう。

消費カロリーが2500kcalで体重72kgの男性の場合、

  • 総摂取カロリーは2750kcal~3000kcal(初心者の場合)
  • タンパク質の摂取量は115g(=460kcal)~158g(=632kcal)
  • 脂質の摂取量は66g(=600kcal)~100g(=900kcal)
  • 炭水化物の摂取量は367g(=1468kcal)~422.5g(=1690kcal)
  • 週あたりの体重増加目安は180g~360g

となります。

一見すると複雑に見えますが、タンパク質1g=4kcal、脂質1g=9kcal、炭水化物1g=4kcalということさえ知っておけば、上から順番に計算するだけで誰でも理想的な増量期のカロリーバランスを知ることができます。

ぜひこちらを参考に、皆さんも効率の良い筋肥大を心がけた増量期を行ってみて下さい。

参考:Nutrition Recommendations for Bodybuilders in the Off-Season: A Narrative Review

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