筋トレのインターバルについて科学的に解説【8分間のインターバルは筋肉の〇〇を最大化する】

こんにちは、筋トレ栄養マニアのかしろ(@kashiro_kona)です。

筋トレのインターバルの長さってどのくらいがいいの?

今回はそんな疑問にお答えします。

以前こちらの記事でも解説した通り、最近の研究では筋トレのインターバルは2-3分がベストであるということが分かってきています。

しかしながら、実際にインターバルを少し長めに2-3分取ってみても、体感的には1分のインターバルの時とそう代り映えしないというか、あまり効果を実感できないという人も多いのではないでしょうか?

ということで今回は、少し変わり種として8分間のインターバルを取ることで筋トレにどのような影響を及ぼすのかを研究した論文を紹介しながら、長いインターバルと短いインターバルそれぞれの特徴やメリット・デメリットについて、改めて解説していきたいと思います。

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筋トレ中の8分間のインターバルは総負荷重量を最大化する

まずはこちらの2020年にアメリカで行われた、5分間以上のインターバルがベンチプレスのボリュームにどのような影響をおよぼすかを調べた研究からご紹介していきます。

こちらの研究によると、8分間のインターバルで筋トレを行った場合、2分間や5分間のインターバルと比べても、筋トレセットのボリュームが最大化するということが分かりました。

筋トレのボリュームとは、

重量×回数×セット数=総負荷重量(ボリューム)

という式で求められる値のことを言います。

近年の筋トレに関する研究において筋トレの筋肥大効果は、概ねこの総負荷重量(ボリューム)によって決定されるということが分かってきています。

なので100kgのベンチプレスを10回行うのと、50kgのベンチプレスを20回行うのとでは、どちらも同じセット数であると仮定した場合、

100kg×10回=1000kg

50kg×20回=1000kg

トレーニングボリュームは上記のように等しい値になるので、どちらもほとんど同じくらいの筋肥大効果が得られるということになります。

それなら8分間のインターバルが最強じゃん

そう言いたい所なのですが、総負荷重量(ボリューム)はあくまで目安に過ぎなくて、筋肥大に影響をおよぼす要因はもっと複雑に絡み合っているのです

そのことを理解してもらうために、次の研究を紹介しましょう。

短いインターバルは総負荷重量の少なさを補って筋肥大する

2010年にブラジルで行われたこちらの研究は、20人の参加者を8週間にわたり、ベンチプレスとスクワットをそれぞれ4セットずつ、常に同じ長さのインターバル(2分間)で行うグループと、トレーニングの週が進むにつれて少しずつインターバルを短くする(2分→1分半→1分→30秒)グループの2つにランダムに分けて、それぞれ筋肥大にどのような影響をおよぼすかを観察した研究になります。

この研究によって分かったこととしては、一定のインターバルで行ったグループの方がトレーニングボリュームは大きくなるが、筋肥大効果はどちらのグループでも有意な差は表れないということでした。

この研究1つとっても、トレーニングボリュームが必ずしも筋肥大のすべてではないということが分かります。

そして場合によっては、短いインターバルが長いインターバルで筋トレを行った時よりも、より効率的に筋肥大させることが出来るようになるということでもありますね。

では、どうしてこのような結果が得られたのでしょうか?

筋トレの2つの刺激とセット間インターバルの関係

筋トレが筋肉に与える刺激には、大きく分けると2種類の刺激が存在しています。

それがこの2つの刺激です。

  • 機械的刺激
  • 化学的刺激

それぞれどのような刺激なのかというと、まず機械的刺激に関してですが、これはシンプルに、重量を重くすることによって高まる刺激であると考えて下さい。

同じフォームで同じ種目を行った場合、50kgよりも100kgで行った方が、機械的刺激は強くなる、ということですね。

一般的にイメージされる筋トレの刺激というのは、こちらの機械的刺激であることがほとんどです。

では、それに対して化学的刺激とは何かというと、筋トレを行う事によって生じる、筋肉内の様々な変化全般のことを指します。

例えば、筋肉を動かすには当然ですがエネルギーが必要となり、筋トレを行うとそのエネルギーを作り出すのに必要な、筋肉内に貯蔵されてあるグリコーゲンが枯渇します。

すると今度は、そのグリコーゲンからエネルギーを作り出す過程で生じる乳酸が筋肉内にどんどんと溜まっていき、酸性の乳酸が溜まることで筋肉内環境は酸性へとどんどん傾いていきます。

また、筋肉が運動(収縮)すると、その周囲の血管が圧迫されることによって、筋肉内の血液酸素も減少していき、、、と。

このように、筋肉が通常時とは異なる環境に置かれることもまた、筋肥大にとっては重要な刺激であり、この刺激のことを化学的刺激というのです。

そして筋肥大とは、この機械的刺激と化学的刺激が複合的に絡み合う事によって引き起こされるものなので、この2つの刺激をどうやったら狙えるのかを正しく理解することが非常に重要となります。

「インターバルの違い=狙う刺激の違い」となる

さて、2つの刺激について理解したところで、話をインターバルの長さに戻しましょう。

最初に紹介した論文の所でもお話ししましたが、何故8分間のインターバルが筋肥大にとってベストとは言い切れないかというと、長すぎるインターバルは機械的刺激を最大化することは出来ても、化学的刺激が小さくなってしまうからなのです。

化学的刺激とは、筋肉が運動(収縮)することによって生じる様々な環境の変化のことを指すのは先述の通りですが、当然ですが生命活動を続けている限りは、肉体はその変化を通常状態に戻そうと働きます。

そう、つまりは悪化した筋肉内環境は時間を置くことでどんどんと回復していってしまうのです。

このことを踏まえた上でインターバルと2つの刺激についてまとめると、

  • インターバル(短)→ 機械的刺激(低)化学的刺激(高)
  • インターバル(長)→ 機械的刺激(高)化学的刺激(低)

となります。

このように長すぎるインターバルでも短すぎるインターバルでも、それぞれメリット・デメリットが存在するということが分かりますね。

だからこそ、筋肥大にもっとも効果的なインターバルの長さというは、適度に化学的刺激を高めつつも、一定以上のトレーニングボリュームを確保できる長さのことを指しているのであり、それこそが2-3分のインターバルであると言われているのです。

筋トレ効果をさらに高めるインターバルの使い分け

インターバルの長さとその特徴について理解したところで、最後に筋肥大を高めるためのインターバルの使い分け方について紹介します。

改めて、インターバルの長さとそれによって得られる刺激についてのおさらいですが、

  • 1分未満のインターバル→化学的刺激狙い
  • 2分-3分のインターバル→機械的刺激&化学的刺激狙い
  • 4分以上のインターバル→機械的刺激狙い

上記のようになります。

もちろん、それぞれの刺激を狙う場合はインターバルだけではなく、使用重量や1セットあたりの回数も重要です。

具体的には、

  • 化学的刺激狙い→低重量×多回数
  • 機械的刺激狙い→高重量×少回数

といった具合にすることで、筋トレの成果を最大化することができるようになるのです。

でも、2-3分のインターバルが一番効率的なら、他のインターバルでわざわざする必要なくない?

確かにその通りなのですが、インターバルの長さを変えることで”慣れ”を打破することが出来るようになるのです

誰しもが同じ作業を長い期間かけて継続していると、だんだんと慣れを引き起こしてそこから飽きが生じてしまい、それが成長を鈍化させるということはままあることですね。

実はそれは筋肉の成長においても一緒で、常に一定の刺激を与えるよりも、ある程度バラバラの刺激を与えた方が、筋肥大の効率はアップするということが知られています。

この慣れを打破する最も簡単なやり方というのは重量を重くすることだったりするのですが、神経系の発達が一定以上を越えると扱える重量の伸びは停滞してしまいがちです。

だからこそ、こうやってインターバルの長さを変えてやることで、筋肉への刺激を変えることも、筋肥大にとっては非常に重要なこととなります。

さいごに

以上が、筋トレにおけるインターバルの考え方についての解説でした。

ちなみに長いインターバルを取ることで得られるメリットはもう1つあります。

それは筋力のアップが見込めることです。

インターバルの考え方についてのところでも触れましたが、長いインターバルを取ることで、1回あたりのトレーニングで扱える重量は大きくなりますよね。

これは、重たい重量を扱う際は筋肉の疲労だけではなく、神経系の疲労も同時に引き起こされるのですが、長いインターバルではその神経系の疲労を軽減することが出来るようになるからです。

なのでパワーリフティングの選手なんかでは、セット間のインターバルを長めにとっている選手も多く見られます。

なので皆さんも自分の目標に合わせた適切なインターバルを選択することで、筋肉の成長効率を最大化させてみてくださいね。

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